Over the R14
午前中は洗濯と掃除。天気が良いので午後から自転車を走らせることにする。
今の住まいから、新しいオフィスに近い場所に新しい部屋を借りたいなと思い、それに関するイメージを膨らませるという意味で、外資系の某家具店に行ってみることにし、海沿いの国道をひたすら店に向かって自転車を走らせる。国道沿いの倉庫街。平方さんはこのエリアに正直言ってあまり良い思い出が無い。何故ならこのエリアは人々の生活に欠かせない存在であるにのかかわらず、メリットを享受している筈の人たちがこのエリアにいる人達の『気』を吸い取っていくからだ。そして、あの道の向こう側に行く事を願ってやまないのに、行き交う車が多すぎて、向こう側に行く事が出来ない自分。何度か横断を試みるも、車に轢かれては元の木阿弥になる自分。包帯だらけになっている自分がいる一方、道の向こうでは自分の知らない誰かが仲間と思しき人達と一緒に笑顔で語り、遊び、闊歩しているのだ。現時点での自分が立っているのが中央分離帯であることがせめてもの救いなのだが、反対方向からやって来る車に轢かれないという保証は無い。
周辺の道路は数多の車で大渋滞しているが、それをすり抜けて駐輪場に自転車を停め、店の中に入る。店に入り、デスクやベッドやブックシェルフを観て回るが、ふと周囲を見渡すと、周囲にいるのは家族連れと『つがい』しかいない。別に羨ましいとか、そういった感情は無いのに、どういう訳か分からないが、平方さんは『ここはお前の来る場所じゃない。』『お客様、帰りやがれでございます。』などと彼等に言われながら何かを吸い取られているような気がして、家具の事など全く頭に入らなくなってしまったのだ。
『あらゆるものを持つ人たちよ、何も持たない自分から、何かを奪おうとしないでくれ。』
平方さんは心の中でそう叫びながら店の外に出た。そして暗闇の中を自転車で突き抜けていくのだった。
明日の夜は神宮球場へ。久々にセントラル・リーグのゲームを観る予定だ。
傷口はすべて 坂道づたいに
あしたの朝 晴れた海に
流してしまおう
さだまさし『長崎小夜曲』より