2日目のカレー

夜。仕事から帰ってくると家の前に何かが貼ってあるのが見える。裁判所とかからの令状か?と思いびっくりするものの(思い当たる節無いだろっ!!)、ガス会社の張り紙。「おいおい、ガス代はちゃんと払ってるぞ。」と思いつつ、文章をよく読んでみると、
外よりガス漏れ検査をしました。ガス設備のどこかに不良箇所があります。現在、LPGの隣にあるガスメーターの元栓を閉じています。すぐにガスのことでお話したいです。至急ご連絡下さい。0120-XX-XXXX 担当:N
時計の針は22時を回っている。しかし保安センターは24時間営業だろうと思い、記された電話番号に掛けてみる。張り紙の件を伝えると、相手の男は「ああ、平方さんですね。すぐに担当から折り返し電話させますから。」と言って電話を切る。5分と経たないうちに電話が鳴り、すぐに出ると担当のNという男だった。
「すみません、マイコンメーターを点検してみたところ、『ガス少量漏れ』の表示が出ていましたので念のためガスを止めておきました。」
数年ぶりに『マイコン』という言葉を聞いた。Nは続ける。
「あのう、ガスを付けた状態で出掛けていたりしませんでしたか?」
平方さんはコードレスホンの子機を持ったまま風呂場に行き、元栓とスイッチを見る。元栓は開き、種火の状態になっている。しまった。忘れている。
平方さんはその状態をそのまま申告するとNは「そうですか…。機器から漏れているかどうか明日確認したいので、バランス釜を切り、元栓は開いた状態にして出掛けて貰えますか?そうすれば機器に異常があるかどうか確認できますんで。」
確かにそうだ。外からガス漏れを検査するのに元栓を閉めてしまったのでは検査のしようが無い。平方さんはその旨了承し、電話を切る。
今の携帯電話は便利だ。懐中電灯の役割も果たしてくれる。平方さんは滅多に行かない住まいの裏側に回り、ガスメーターを開栓し、復帰ボタンを押す。数分後、湯沸し器のスイッチを入れると蛇口から勢い良くお湯が出てきた。
風呂から上がり、昨日のカレーを温める。独り暮らしにおけるカレーの最大の欠点。それは沢山作ってしまってカレーが数日続くと言うことだ。少しでもアクセントを付けようと思い、家に帰る前にQueen's Isetanで米やヨーグルトと一緒に惣菜売り場でひれかつを買ってきたが、盛り付けてからこれがポークカレーだったことに気付き、ちょいと凹む。確かに一晩寝かせたカレーは美味しいが、全部食べ切るにはもう一晩掛かりそうだ。